石原慎太郎◆私の好きな日本人
大阪万博のシンボル『太陽の塔』に開会の折過激派の青年があの黄金の顔の目玉に居座って万博反対(反博)を叫んだと聞かされて、面白がり、
「なんだろうと、一番の反博は俺の『太陽の塔』だよ」
と鼻でせせら笑ったそうな。
実際にモニュメントについて依頼があった時、周りの芸術関係の友人たちが、官庁や大企業の寄り合い所帯の万博協会の仕事なんぞ作家の言い分が通りにくく止めた方がいいと忠告したが、それでかえって彼はやる気になった。
そして万博のテーマは『人類の進歩と調和』と聞いて、
「何が進歩だ。縄文土器の凄さを見ろ、今の人間につくれるか。調和というが、皆が自分を殺してなれあう調和なんぞいやしい。
ガンガンぶつかり合い戦ってそこに生まれるのが本当の調和だよ」
と真っ向から万博への反対、無視を広言してはばからなかった。
まさに反博そのものではないか。
――「自由と奔放の魅力 岡本太郎」
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◆私の好きな日本人|石原慎太郎 |幻冬舎|ISBN:9784344015838 |2008年11月
★★
今の日本人、今の私たちを形作った原理とは一体何なのか?「希望」と「自信」が沸き立つ人生の教科書、鮮烈の全10章。日本武尊/織田信長/大久保利通/広瀬武夫/岡本太郎/賀屋興宣/横山隆一/五島昇/小林秀雄/奥野肇
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