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2009.03.12

島内景二◆源氏物語ものがたり

20090312shimautigennji

日常生活で忘却された「根源的な人生」のことを、宣長は「もののあはれ」と命名した。

源氏物語には、たくさんの登場人物が入れ替わり立ち替わり、現れる。彼らは、光源氏と関わらなければ一生体験せずに済んだだろう「大きな苦しみ」と、光源氏から分けてもらった「大きな喜び」を感じている。だから彼らは、人間として生まれた甲斐があった。

その人たちの「喜び」や「悲しみ」をすべて吸収して、光源氏は生きる。〔…〕

「もののあはれ」は、美学や美意識などではない。平和によって麻痺しつつある「人間の心の緊張感」、あるいは「危機意識」を取り戻すための唯一の武器だったのだ。

宣長は、どこまで自分の心を高めて「人間本来の姿」を取り戻せるか、験(ため)したかったのだろう。感情の起伏の激しい光源氏は、まさに「人間」のモデルだった。

――第9章 本居宣長

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◆源氏物語ものがたり|島内景二 |新潮社|ISBN9784106102844 200810月 |新書

★★★★

《キャッチ・コピー》

なぜ源氏物語は千年もの長きにわたって、読者を惹きつけてきたのか?本文を確定した藤原定家、モデルを突き止めた四辻善成、戦乱の時代に平和を願った宗祇、大衆化に成功した北村季吟、「もののあはれ」を発見した本居宣長…。源氏物語に取り憑かれて、その謎解きに挑んだ9人の男たちの「ものがたり」。

memo

源氏物語の読まれ方1000年史。

■源氏物語&関連本

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