湯浅誠◆反貧困――「すべり台社会」からの脱出
人々に働く場所や住むべきアパートを確保できないという社会の不自由、社会の〝溜め″のなさによって、野宿者や「ネットカフェ難民」が生み出されている。貧困問題も、本人の「間題」ではなく、社会の「問題」である。〔…〕
貧困が「あってはならない」のは、それが社会自身の弱体化の証だからに他ならない。貧困が大量に生み出される社会は弱い。
どれだけ大規模な軍事力を持っていようとも、どれだけ高いGDPを誇っていようとも、決定的に弱い。そのような社会では、人間が人間らしく再生産されていかないからである。誰も、弱い者イジメをする子どもを「強い子」とは思わないだろう。
人間を再生産できない社会に「持続可能性」はない。私たちは、誰に対しても人間らしい労働と生活を保障できる、「強い社会」を目指すべきである。
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◆反貧困――「すべり台社会」からの脱出|湯浅誠 |岩波書店 |ISBN:9784004311249 |2008年04月|新書
★★★
《キャッチ・コピー》
うっかり足をすべらせたら、すぐさまどん底の生活にまで転げ落ちてしまう。今の日本は、「すべり台社会」になっているのではないか。誰もが人間らしく生きることのできる「強い社会」へ向けて、課題と希望を語る。
宇都宮健児/湯浅誠◆反貧困の学校――貧困をどう伝えるか、どう学ぶか
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