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2009.05.29

小池晴子◆中国に生きた外国人――不思議ホテル北京友誼賓館

20090529koiketyugoku

しかし、私はすんなりと日本人コミュニティに入っていったわけではない。日本のわずらわしい地域社会から解放された友誼賓館は、ボヘミアンの気ままさをもって暮らせる夢のような場所であった。〔…〕

立ち入らず、押しつけず、絶妙の距離を保って、浮世の義理から解放されていた。ここは日本企業の社宅ではない。上下関係も利害もなかった。駐在員の社会には常に濃密な「日本」があるかもしれないが、専家の日常に「日本」は希薄であった。

それなら中国社会に根をおろしていたかといえばそうではない。中国の機関で働いていながら、中国人とのあいだには常にバリアが張りめぐらされていた。

孫君のように、こちらに入ってこようとすれば押し返す力が働き、中国社会に切りこもうとすると、盗聴の影を意識せざるをえないところがあった。日中間で微妙に浮遊する専家たちの間には、バリアに守られたやさしい連帯感が漂っていた。

*

◆中国に生きた外国人――不思議ホテル北京友誼賓館|小池晴子|径書房|ISBN9784770502025200902

★★★★

《キャッチ・コピー》

北京にあった外国人専用・長期滞在型ホテル。数奇な運命を生きた米国人・英国人・日本人などが、中国政府から「老専家」の称号を与えられ、手厚く保護されて暮らしていた……。日本共産党の秘密組織「北京機関」に関わった日本人、スパイとしてFBIに追われたアメリカ人女性原子物理学者など。

memo

専家」とはいわゆる“お雇い外国人”。友誼賓館=フレンドシップ・ホテルは、その居住区。1990年代、著者は旅游学院の日本語、観光学の教師として滞在。袖の下→友誼の印→「関系」というコミュニケーションや「中国ではあらゆる噂がまことしやかに流れる」話など。

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