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山本一生◆恋と伯爵と大正デモクラシー――有馬頼寧日記1919

20090616yamamotokoito

原熈は教授に昇格し、頼寧は農商務省に入省する。

俊才が集まるといわれた農商務省に入ることができたのは原の尽力の賜物で、しかも辞めたのちの仕事まで世話してくれていて、頼寧にとっては文字通りの恩師であった。〔…〕

「なるほど。そういうことですか」と、原は応じる。「ご存知のように私は、学生のころから本人を知っていまして、よくわかっているつもりですが、有馬君は、そうですね、放蕩をしなければ、憂鬱病になってしまうようなところがあります」

「放蕩ですか?」

口元に微笑みを浮かべながら、倉吉は聞き返す。

「そうです、放蕩です。憂鬱病に陥るのを避けようと思えば、放蕩するしかないのです」

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◆恋と伯爵と大正デモクラシー――有馬頼寧日記1919|山本一生|日本経済新聞出版社|ISBN9784532166366200709

★★★★

《キャッチ・コピー》

競馬「有馬記念」に名を残す有馬頼寧。社会運動に取り組む「華族の反逆児」は、許されぬ恋に悩み、爵位を捨てる覚悟までした。若き日の日記の行間から、大正という時代の実像を鮮やかに切り取ったノンフィクション。

memo

ネットによる古書販売がなかったころ、有馬頼義の本を求めて古本屋めぐりをし、昭和20年代以前の本を除きほぼ全著作を収集した。そのとき父・頼寧の「農人形」(1938)も頼義の序文があったため購入したことがある。こんな魅力的な人物だったとは……。

上坂高生■ 有馬賴義と丹羽文雄の周辺――「石の会」と「文学者」

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