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2009.07.14

ノンフィクション100選★夕刊流星号――ある新聞の生涯|足立巻一

Nonfiction100

1981

しかし、当座の運転資金もいり、1千万円は用意しなければならない。しかも、その資金を回収する見込みはない。

新聞を持つことが大きな武器となる総会屋かヤクザでなければ、そんな金を出すまともな人間がいるはずもない。

もし、自分に1千万円の財産があっても投資しないだろう。それを人にすすめるとは何と虫のいいことか。詐欺にかけることではないか。〔…〕

小さくはあったけれど、純でもあった一つの理想と情熱とがすっかり消え失せようとしている。

新聞を人にたとえれば、その短い生涯が伊坂の意識のなかでは終わったのである大阪に着いたならは、すぐにも辞表を再建委員会に出そう、と心をきめた。

だが、伊坂が大阪空港に着いたとき、待ち受けていたのは逮捕令状であった。令状には「恐喝罪被疑者伊坂靖介」と明記されていた。

★夕刊流星号――ある新聞の生涯|足立巻一|新潮社|ISBN9784103394020198111

memo

足立巻一を最初に知ったのは『詩のアルバム――きりんの仲間17年』(1964)だった。竹中郁、坂本遼(播州弁の詩集『たんぽぽ』)、そして若き小学校教師・灰谷健次郎などによる児童詩運動を描いたもの。

それから20年の空白があって、歌人である恩師の評伝『夕暮れに苺を植えて』(1981)、祖父、父を描いた『虹滅記』(1982)、文学少年だったころの神戸を描いた『親友記』(1984)などを愛読した。心が萎えたとき、しんみりとした口調での昔話をきいたような感があった。

この『夕刊流星号』は夕刊紙「新大阪」の1946年の創刊から滅亡までを描いたもの。敗戦まもない大阪のジャーナリズムのエネルギッシュな混沌がまぶしい。同名の詩集もある。

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