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2009.07.10

ノンフィクション100選★太平洋ひとりぼっち|堀江謙一

Nonfiction100

1962

5月24日()=第13

夜、夢のような、幻覚みたいなものを見る。キャビンのなかに、たしかにもうひとり、ぼくがいる。

表では風が変わった気配がする。

早く出ていって、作業しなくてはいけない。でも、ぼくはもうフラフラだ。一日じゅう働きずめだった。

こんどは、アイツが仕事をする番だ。だのに、どうして出ていかないんだ? ふとい野郎だな、とムッとする。

ハッとして、正気づく。乗っているのは、ぼくひとりだ。だれもいやしない。しょうがない。ノソノソ起きて、デッキに出る。嵐はつづいている。

★太平洋ひとりぼっち|堀江謙一196212月|文藝春秋新社

memo

6m足らずのヨットで太平洋をひとり横断した「マーメイド」号の航海記。1962年のこと。「ぼくの我儘を許してくれたお母ちゃんへ」と献辞がある。堀江謙一、23歳の冒険。

航海日誌は大学ノートにボールペン書き。94日間、一日も抜けていない。400字詰100枚に近い字数だったという。たしか名手・村島健一がリライトしたのではなかったか。

私がいちばん驚いたのは、新書版2段組で9ページにおよぶ航海用具、食糧、衣料品、日用品などの詳細なマーメイド“財産目録”だった。

1963年、石原プロ第1作として市川崑監督、石原裕次郎主演で映画化された。

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