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2009.08.03

ノンフィクション100選★警官汚職|読売新聞大阪社会部

Nonfiction100

1984

斎藤は、突然、東京・新橋駅近くであった正体不明の男の言葉を思い出した。

「国民はね、お巡りさんに泥棒をつかまえてほしいと思ってるけど、政治までやってほしくはないよね」

それにしても、と斎藤は思った。杉原前本部長が自殺をしたあと、社会部に寄せられた膨大な情報は一体何であったのか。

政界とのつながり、業界からの餞別、フィクサーの暗躍、取締りをめぐっての深いところでの金の流れ、いろいろと寄せられた情報のうち、捜査当局は何lつメスを入れないまま終わった。〔…〕

ではなぜ、あれほど膨大な情報が洪水のように社会部に寄せられたのか。

市民から遠くに離れてしまった警察へのいらだちが、うわさや断片情報の組みあわせとなって新聞社にぶっつけられたのではなかったか。

★警官汚職|読売新聞大阪社会部|角川書店|19848月|ISBN9784048831635

memo

『警官汚職』は1982年大阪を舞台にゲーム賭奕取締り情報をめぐる現職警官の贈収賄事件を扱ったもの。記者の動き、記者の思いをメインにしている。

読売新聞大阪社会部のノンフィクションは、三菱銀行・梅川昭美事件の『ドキュメント新聞記者』(1980)、宝塚市小学生誘拐事件の『誘拐報道』(1981)、韓国への『武器輸出』(1982)、旧日本兵の『捜索報道』(1983)、そして『警官汚職』と続く。どれも読み出したら途中でやめられない。

読売新聞大阪社会部は、1976年に黒田清が社会部長に就任し、読者参加形式のユニークなコラム「窓」、長期連載「戦争」と戦争展の開催等、「黒田軍団」として活躍する。1987年退社し「黒田軍団」は雲散霧消する。大阪社会部の本はその後も『逆転無罪』(1990)などがあるが、似て非なるもの、読むに値しない。

私は1997年神戸須磨少年A事件のとき、黒田清の取材を受けたことがある。テレビ朝日のワイドーショーのインタビューであった。小一時間テレビカメラが回りっぱなしのなかで、たった一度だけ答に詰まった。後でビデオを見ると、その質問と答の部分のみが数十秒放映された。さすがは黒田清とを巻いた。

なお、黒田清の伝記としては有須和也『黒田清 記者魂は死なず』(2005)がある。

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