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2009.08.21

ノンフィクション100選★わが人生の時の人々|石原慎太郎

Nonfiction100

2002

自らの青春と国家社会のそれを重ね共にして出発した者たちの被った恩恵はいろいろな形で現れていたが、仲間のある者がふといっていたように、私たちの世代の最たる特色の一つは誰もが実に饒舌だった、それも実に早口の饒舌だった。

私自身も未だにそうだし、同業の開高健、大江健三郎、寺山修司、小田実、女性にしても曽野綾子、有吉佐和子、そして若くしてすでに老成の印象強かった江藤淳にしてもしかり。

ジャンルを跨いで共によく仕事をした映画界の篠田正浩、大島渚、羽仁進、浅利慶太、音楽の小沢征爾等々の論客、なんとせっかちに良く喋ったものだったろう。

それは私たちの世代が意識無意識にさまざまなメッセイジを多く抱えているからだと誰かがいっていたが、いかにもうなずける。だからそんな何人かが顔を合わすと実によく議論したものだった。

あの頃は何を話し合ってもその話題がまともな論争の主題たりえたような気がする。

わが人生の時の人々|石原慎太郎|文藝春秋|ISBN9784163580906200201

memo

 石原慎太郎には膨大な著作のなかに”わが人生の時”3部作がある。不可思議な経験の「エピソード集」である『わが人生の時の時(1990)、出会いにまつわる「秘話集」である『わが人生の時の会話(1995)、そして本書『わが人生の時の人々(2002)は著名人たちの「ゴシップ集」である。

 たしか佐野眞一『てっぺん野郎――本人も知らなかった石原慎太郎』(2003、のちに「誰も書けなかった石原慎太郎」と改題)のなかでだったと思うが、デビュー後メディアに出ずっぱりの人が二人いて、それは石原慎太郎と長嶋茂雄だという(長嶋はその後リタイア)

 1932年生まれ。1956年『太陽の季節』により芥川賞を最年少受賞。太陽族、慎太郎刈りが流行。俳優・石原裕次郎の兄。映画監督。1968年参議院議員選挙300万票でトップ当選。環境庁長官。運輸大臣。伸晃・良純・宏高・延啓の父。東京都知事に三選。たしかに20代なかばから70代後半まで出ずっぱり、こんな例は皆無だろう。そのうち総理大臣の父にも?

 文学、映画、演劇、スポーツ、政治、経済等、各界のトップたちの交遊録ゴシップ集である。文壇だけでも半世紀以上、出会った作家は数知れない。その秘話が語られる。しかも「己の人生の青春と国家社会の青春を重ねることが出来たことで私たちは、その後の人生の過程をそのまま社会の発展成熟とおおよそ重ねて歩むことが出来たともいえる」(本書)

せいぜい長生きして、時代のゴシップを集積してもらいたい。

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