本田靖春◆戦後の巨星二十四の物語
本田 もう一つ、こういうことがあるんだよね。オレはノンフィクションの書き手で、他人の個人的な部分に土足でずいぶん入り込んできたわけだ。
そういうことをしながら、どこまで取材をしても、ある人物の内側を完全につかんで分析するってことは、結局のところ不可能なわけだよ。
生島 そりゃそうだ。
本田 それが一つある。もう一つ、他人のことばつかり書いててさ、いわばアバいて、自分が無傷でいるわけにいかんじゃないかっていう気持ちもあるんだよな。
その二つが重なってね、この商売やってて最終的に書くことは何だっていったら、やっぱり自分のことだと思う。ちょうどそういう思いがあったときに、あなたのあの作品にぶつかったから、わが身にひきあててみてね、書けるかと。ああいうふうに……。
オレにとっては差し迫った大きな宿題だな、これは。
――生島治郎 似た者同士の小説家
◆戦後の巨星二十四の物語|本田靖春|講談社|ISBN:9784062135320|2006年10月
★★
《キャッチ・コピー》
戦後日本をつくったスターたちが孤高のジャーナリストだけに明かした「胸のうち」があった。“昭和”を証言する貴重な異色対談集。萩原健一/阿佐田哲也/美空ひばり―/中内功/植木等/生島治郎/鈴木清順/谷川浩司/つかこうへい/立花隆/桂三枝/井上陽水/手塚治虫/ビートたけし/中上健次/長島茂雄
《memo》
84年から85年にかけて週刊現代に連載の「本田靖春のインタビュー人物論『委細面談』」の中から抽出したもの。20年以上前のもの。
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