« ノンフィクション100選★関西国際空港|佐藤章 | トップページ | ノンフィクション100選★平成ジャングル探検|鹿島茂 »

2009.09.23

乙川優三郎◆闇の華たち

20090923otokawayami

「この間、雪を見ました、夜でしたから夢だったかもしれません」

「そういう季節になった、そのうちまた降るだろう」〔…〕

一家の不幸は娘自身のせいではないが、親の哀しみを考え、親のために残す言葉が彼女の行き着いた終わりであろう。

「わたし、死んだら雪になります、父や母にそっと触れられるから」

彼女はいくらか興奮して、いま言っておかなければならないというように話した。

「初雪には間に合いませんでしたが、もうじきそうできるでしょう、母の髪や父の肩に舞い降りて、暖まったら解けてゆきます、でも二人には内緒です、傘を差さなくなると困りますから」〔…〕

「さあ、少し眠りなさい」

――「冬の華」

◆闇の華たち|乙川優三郎|文藝春秋|ISBN9784163280905200904

★★★

《キャッチ・コピー》

苦境の淵でもけなげに生きる人達を精緻な文体で描く時代小説集。

memo

藤沢周平の後継、乙川優三郎にしては完成度の低い短編集。

|

« ノンフィクション100選★関西国際空港|佐藤章 | トップページ | ノンフィクション100選★平成ジャングル探検|鹿島茂 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 乙川優三郎◆闇の華たち:

« ノンフィクション100選★関西国際空港|佐藤章 | トップページ | ノンフィクション100選★平成ジャングル探検|鹿島茂 »