立川昭二◆年をとって、初めてわかること
文学作品はけっして絵空事ではない。それは「事実」以上に「真実」を物語っている。ということは「物語」は私たちのまわりに生きているのである。
そしていま、ここでつき合ってきた作者や作品の登場人物たちに別れを告げるにあたってあらためて思うことは、彼らが語ってくれたことはいずれもみな、彼らが年をとって初めて体験したことばかりであったということである。
「年をとって、初めてわかること」の中には「わからないことがある」ことも含まれている。
「わからない」ゆえに味わう驚き喜びというものもある。
人には、年をとって初めてわかる驚きがあり、年をとって初めてわかち合える喜びがある。老年こそは自己発見と相互再生の黄金の季節なのである。
◆年をとって、初めてわかること|立川昭二|新潮社|ISBN:9784106036125|2008年07月
★★★
《キャッチ・コピー》
老いがもたらすものは喪失と寂寥ばかり?いや、老いたからこそ知る自己発見の驚き、人と分かち合う喜びが、そこにある。心と体。エロス。孤独。共生。愉しみ。看取り―思いもよらなかった「老い」の豊饒な世界を、名作文学のなかにしみじみと読み味わう。
《memo》
老いをあつかった小説ガイド。
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