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2009.10.12

ノンフィクション100選★失踪日記|吾妻ひでお

Nonfiction100

2005

2005azuma01

★失踪日記|吾妻ひでお|イースト・プレス|20053

ノンフィクション100選も本書で50冊めとなった。これまで写真集1冊以外は文字本である。そこで漫画を選んでみた。

帯に「全部実話です(笑)」とある吾妻ひでお『失踪日記』である。「突然の失踪から自殺未遂・路上生活・肉体労働、アルコール中毒・強制入院まで。波乱万丈の日々を綴った、今だから笑える赤裸々なノンフィクション!」。漫画はつねに具象であらねばならず、ホームレスでの食い物の描写がまことにリアル。失踪の動機はともかく、“貧困の時代”の今、あらためて読まれるべき作品である。

『別冊宝島:70年代マンガ大百科』(1996)によれば、「〇月×日 おばあさん900人とすれちがう」などといった調子の短いギャグを日記のように並べた作品『不条理日記』(1979)などSFパロディギャグで吾妻ひでおブームがあったという。

その後、1989年の一度目の失踪を描いた「夜を歩く」、1992年の二度目の失踪、ガス配管工として働いていたころを描いた「街を歩く」、1993年に某病院に強制入院させられた体験の「アル中病棟」をまとめた本書『失踪日記』(2005)がベストセラーになる。

同書で日本漫画家協会賞大賞、文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞、手塚治虫文化賞マンガ大賞を受ける。

なぜこの作品が“漫画三賞”をと思うが、たぶん漫画はジャンルごとに読者がたこつぼ化されており、漫画家自身を描いた“私小説”のようなドキュメント作品は、賞を受けやすかったのではないか。

「この漫画は人生をポジティブに見つめ、なるべくリアリズムを排除して描いています」とイントロにある。巻末対談でとり・みきは「実体験の凄さのほうをみんなピックアップして語りがちな作品だと思うんですが、絵も含めた『漫画作品』として完成度が高くて本当に面白い」と発言している。

 似た題名の『逃亡日記』(2007)は、『失踪日記』のインタビュー記事版でファン向け。“便乗本”である。本人が「この本は買わなくていいです」。

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