佐野真一◆新忘れられた日本人
戦後は一転して、祖国復帰の希望を乗せて日本から北朝鮮に戻る帰還船のメイン航路となった。〔…〕小林はこの帰還船事業の功労者として、金日成から二度、国賓待遇で北朝鮮に招待されている。〔…〕 「金日成から『何かご希望のものはありませんか。何でも叶えて差しあげます』と言われて、思わず『息子さんに会いたい』と言ったんです。 当時、金正日はもう後継者に擬せられていましたからね。でも、やはり会わせてはくれませんでした。かわりにこれで勘弁してくれと言われて、金正日が登場する映画を見せられました。 戦争中、日本軍が手こずったというだけのことはあって、親父の金日成は実にいい顔をしていましたが、金正日は不良少年の顔をしていましたね。 人の命を取ることも平気でやるらしいといった噂も、私の耳に入ってきました」 不良少年面したその金正日がテポドンを発射し、また核実験を始めた。まさに地球規模の不良老年となっているのである。 ――「環日本海構想の先人・小林力三」 |
◆新忘れられた日本人|佐野真一|毎日新聞社|ISBN:9784620319445|2009年07月
★★★
《キャッチ・コピー》
数十年に及ぶ膨大な取材ノートから紡ぎだした忘れえぬ、忘れ去られてゆく日本人たち。稀代の悪党、無私の人…。
《memo》
宮本常一の名著「忘れられた日本人」にならって、著者のこれまでのノンフィクションのなかで脇役だった魅力的な人物に焦点をあてた短い読み物。「ノンフィクションも主役を食うような底光りする脇役を配して物語が大きく動き出す」という。
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