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2009.10.21

草森紳一◆本の読み方――墓場の書斎に閉じこもる

20091021kusamorihon

ダイアン・ジョンスンの『ダシール・ハメットの生涯』の中に、一日中、坐って本ばかり読んで外出しないスランプ中の彼に対する家政婦のローズの次のような発言がある。

「彼は本を読み終えるといつも、それを暖炉のなかへ投げこんだ」〔…〕

「彼はただ、それらの本と縁を切りたかっただけなのだ。ほかにどんな理由があるだろう? 本は火格子のなかでゆっくり燃え、ゆっくり焼け焦げ、やがてぱっと燃え上がる。彼は炎のそばに腰をおろし、燃えゆく本の誘いこむような光を浴びながら、スコッチをすこしずつ口に運ぶ

もともと彼は蔵書なぞに興味なく、積み上げた本の上に平気で腰かけるタイプであるが、この場合書けない自分をじっとみつめている所作だともいえるだろう。

――「大きな無花果の木」

◆本の読み方――墓場の書斎に閉じこもる|草森紳一|河出書房新社|ISBN9784309019284200908

★★★★

《キャッチ・コピー》

本を読む。読みたいから読む。やむにやまれずただひたすらに。読み疲れてまどろんだりしても、それも読書のうちである。ただその本とある時間と空間を愛するのみ。読書の歓びとは、本とある快楽の追求以外のなにものでもない。

memo

三餘、すなわち冬・夜・雨……。これが読書にふさわしい三つの余暇。三餘の故事を紹介し、読書は「三餘を以てすべし」の発想は、農耕文化のものだと説く。すなわち、冬・夜・雨は農業にとってお手あげの時である、と。著名人たちの読書にまつわる挿話23篇。エッセイの名品である。

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