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2009.11.29

清水義範◆身もフタもない日本文学史

20091129shimizumimohuta

女性はエッセイを書こうとすると、清少納言になってしまう。そして男は、ついに私にも発言の順番がまわってきたのかと喜び、兼好になってしまい世の中を叱るのである。

とどのつまりは、女性にとっても男性にとっても、私こそセンスがいい、私こそ知的であるという自慢をうまく芸で処理して書くのがエッセイなのだ。そう考えてみると古典の影響力の大きさにただ驚くばかりである。

ただし言うまでもないことながら、兼好にしても清少納言にしても(鴨長明もまたしかり)、時勢の外にいてああいうエッセイを書いたから読む気のするものになっているのである。〔…〕

日本のエッセイは、時流から外れて不遇をかこつ人が、だがしかし私にはこれがあると負け惜しみの自慢をするという伝統の中にあるのだから。だからこそ、聞くに値する真理にまで達していることがままあるという、ねじれた言論文化なのだ、エッセイとは。

◆身もフタもない日本文学史|清水義範PHP研究所|ISBN9784569709833200907月|新書

★★★★

《キャッチ・コピー》

希代のパスティーシュ作家が、現代まで連なる日本文学の伝統と、名作の凄さやつまらなさをざっくばらんに語る。「源氏物語」の世界文学史上稀な文体はなぜ生まれたのか。なぜ芭蕉は田舎の悪口を書くのか。なぜ漱石の小説は現代人が読んでもスラスラ読めるのか…。日本文学史の「背骨」をわし掴みにする快作。

memo

世を憂え、自慢話に終始する高齢者のブログが蔓延しているのを実はいぶかっていたが、みなさん由緒正しき兼好の末裔だったのですねえ。本書のエッセイをブログと読み替えると、すべて納得できる。源氏物語から10の雑談で綴る日本文学史。快著です。

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