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2009.11.30

いとうせいこう/みうらじゅん◆見仏記――ゴールデンガイド篇

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中におわすのは、8世紀前半作と言われる2メートル弱の十一面観音立像。十一面界のセクシーダイナマイト、渡岸寺の十一面にも似た黒さを持つ本尊だが、決して奔放ではない。

色香を隠した色香、妖しき、高貴さが観音寺の十一面にはある。

しまった筋肉、柔らかな肌、衣はまるで濡れて垂れたような印象があり、顔は外光を反射して光っている。かすかに歪んだ唇、張った太もも、低いが筋の通った鼻梁……、これこそ東洋の美としか言いようのない姿だ。

私は久しぶりに、仏像の前で動けなくなっていた。みうらさんはその間もしきりに“ずっとグラビアクイーンなんだよ、このお方は”〔…〕やがてたったひと言、「……パーフェクト」と言って黙り込んだ。

私は私で、十一面のわずかにふくらんだ頻の滑らかな線に見とれ、口を半分開けたままだった。あっけにとられたまま少し下がれば、十一面は男性的になる。近づいてみると、また女性的になる。

変幻自在の観音だ。

◆見仏記〈ゴールデンガイド篇〉|いとうせいこう/みうらじゅん|角川書店|ISBN9784048850148200904

★★★

《キャッチ・コピー》

仏像求め東へ西へ!今回、仏友二人はメジャーどころを旅するはずが…。相も変わらずのドタバタ珍道中、空前の仏像ブームに満を持して刊行。

memo

おなじみシリーズのうち上掲は、京都─観音寺。「かつて三度、観音様に恋をした。滋賀の向源寺、そして、奈良の聖林寺、そしてしして観音寺のあなた」(みうら)

いとうせいこう/金子 兜太■ 他流試合――兜太・せいこうの新俳句鑑賞

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