北方謙三◆三国志(3の巻)
「赤兎馬が傷を負った。それを治すために、鎧を射て成玄固を呼んだ。そういうことになるな、劉備殿」 「確かに」 「私を射ることができたのに?」 「呂布というのは、不思議な男です」 「私の命が、赤兎馬より下ということか。両軍の前で、呂布はそれを示したのか」 「あまり、お怒りになられますな、曹操殿。呂布は、われらに測り難いなにかを持っているのでしょう」 「怒ってはおらぬ。ただ、驚いた。あんな男がいるということにな」 「あの台は、危険でございますな。まさか、四百歩の距離に矢が届くとは」〔…〕 「呂布のやつ、なにを考えているのだ。曹操を射殺せたものを」 劉備の幕舎で、張飛が吐き捨てるように言った。 |
◆三国志(3の巻)|北方謙三|角川春樹事務所|ISBN:9784894568815|2001年08月|文庫
《キャッチ・コピー》
戦乱を駆けぬける男たちの生き様を描く、北方三国志第三巻。
| 固定リンク
コメント