« いとうせいこう/みうらじゅん◆見仏記――ゴールデンガイド篇 | トップページ | ノンフィクション100選★あゝ野麦峠|山本茂実 »

2009.12.01

吉田修一◆キャンセルされた街の案内

20091201yoshidacansel

二人が初めて会ったときの思い出話。親友の彼女と、恋人の親友との出会い。Mにはもったいない彼女だと患っていたと打ち明けると、グラスの水を飲み干した彼女は、彼を裏切ってしまった自分が情けないと言った。

恋人を裏切ること。親友を裏切ること。どちらが罪深いのだろうか。今なら、恋人でも親友でも簡単に裏切れる。

親友であるあなたと彼の関係を壊したくないの。などと、彼女は馬鹿げた言い訳をしてくれない。そんな女性だからこそ、いつまでも吹っ切れないのだと思う。

あの夜、以来、初めて彼女と会う。ワインを選ぼうとすると、「私、今日は水でいいや」と彼女は言った。それが彼女の答えなのだ。

千の偶発事を記述して、しかもそこから一行の意味を引き出すことも差し控えるような。昨夜から読み始めた本の一文。

――「24 Pieces

◆キャンセルされた街の案内|吉田修一|新潮社|ISBN9784104628056200908

★★★

《キャッチ・コピー》

東京、大阪、ソウル、そして記憶の中にしか存在しない街─戸惑い、憂い、懼れ、怒り、それでもどこかにある希望と安らぎ。あらゆる予感が息づく「街」へと誘う全十篇。

memo

文字どおり24の断片で構成された短編「24 Pieces」。上掲はそのうち5つの断片である。ベートーヴェンのピアノソナタ第24番嬰ヘ長調『テレーゼ』(Variations Piano Sonata 24 Pieces)と関係あるかどうか。ないと思う。

吉田修一◆あの空の下で

吉田修一◆元職員

|

« いとうせいこう/みうらじゅん◆見仏記――ゴールデンガイド篇 | トップページ | ノンフィクション100選★あゝ野麦峠|山本茂実 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 吉田修一◆キャンセルされた街の案内:

« いとうせいこう/みうらじゅん◆見仏記――ゴールデンガイド篇 | トップページ | ノンフィクション100選★あゝ野麦峠|山本茂実 »