福本邦雄◆表舞台裏舞台――福本邦雄回顧録
中曽根内閣の時、「安竹宮」で中曽根後継が決まる時の話なんですが、〔…〕「経世会」――竹下事務所に立ち寄ったんですね。〔…〕それで、相手は中曽根さんだし、時間を潰していてもしょうがない。何か手がないか、と。それで、「どうしようか」と言うから、〔…〕 翌日、藤波官房長官に私の事務所に来てもらって、「実は、御不例であられる陛下に何か起きた場合、即時政治休戦で、中曽根続投で行こうという提案をするつもりだ」と言った。〔…〕 それで、これは歴史に残ることなんだが、藤波は、「中曽根さんというのは低血圧で、午前中は駄目だ。午前中は、意気が上がらない。すべて悲観的に見る。それが活性化するのは、夕方からだ」と言うんだ。〔…〕 「じゃあ、夜にセットしよう」ということで、数日後の夜、竹下さんとの会談をセットしたんだ。これは、公邸で2時間だ。だから、竹下さんが一番乗りで話をした。翌日の朝、安倍、宮沢が、それぞれ30分ぐらいずつ話したんだ。〔…〕 政治休戦の提案ということと、藤波の判断による時間の設定が、後継を決定する大きなモーメントになったと思う。 (昭和62年10月20日、竹下氏は、中曽根総理より後継者として指名される)。 |
◆表舞台裏舞台――福本邦雄回顧録|福本邦雄|講談社|ISBN:9784062137607|2007年04月
★★★
《キャッチ・コピー》
驚くべき新事実が次々と明かされた!政治の世界を知り尽くし、「最後のフィクサー」と呼ばれた男が全てを語った3年間19回に及ぶ迫真の証言録。
《memo》
伊藤隆、御厨貴を聞き手とするオーラル・ヒストリー(歴史研究のために関係者から直接話を聞き取り、記録としてまとめること)。重複部分が多いが、「微妙な差異」があり、そのまま残したと御厨貴のあとがきにあるのだが……。
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