石川文洋●日本縦断徒歩の旅――65歳の挑戦
4日[越前町梅浦〜敦賀市杉津海岸32キロ]。 「こぼせ旅館」は三三年前、作家の開高健さんと一緒に行った宿だった。開高さんとは1965年、68年とベトナムでお会いした。〔…〕 70年、原稿を開高さん、写真は私という週刊誌の企画で、冬の越前ガニを取材しに福井へ行った。開高さんは三国町で講演も予定していた。主催者が私もベトナムにいたと知り、急遽、前座を要請されて講演したことを思い出す。 旧知の酒場や宿を訪ね、昔話をするのは人生の喜びでもある。 故郷の那覇市や勤務先のあった有楽町には、行きつけの酒場が数軒あったが、経営者が高齢となり、次々と店じまいをしてゆくのは大変寂しい。 「こぼせ」の主人長谷さんは71歳だが、とても元気で加寿子さんとともに取材当時のことを話し合い、楽しい時間を過ごすことができた。 |
●日本縦断徒歩の旅――65歳の挑戦|石川文洋|岩波書店|ISBN:9784004308911|2004年05月|新書|評価=◎おすすめ
《キャッチ・コピー》
歩くことの大好きなカメラマンが、少年の頃からの夢、日本列島縦断をついに敢行。北海道・宗谷岬から故郷の沖縄・那覇まで3300キロ、5ヵ月に及んだ旅は、どのような日々を刻んだか。日本と日本人の現在を写真とともに伝える全記録。
《memo》
旅先でであった子どもたちや未知の人との一期一会、むかしかかわりのあった人たちとの再会。著名なカメラマンである著者は1日につき30キロ、10時間を歩き、費用は1日1万円、150日の贅沢な時間。徒歩による一人旅、しかし孤独感皆無。写真集・文庫版は『てくてくカメラ紀行』(ISBN:9784777902262)。
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