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2010.01.27

荒川洋治●文学の門

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いまは、ものを書く人でも、あまり本を読まなくなった。

他人に興味のない人が、生まれながらに持ち合わせる文才で、するすると書く。

小説のかたちをしていても、文学とは無縁なものが、どんどん生産され、ほんとうの文学の姿を知らない人たちのもとに届く。

それを人は文学として、うけとめる。そういうことになった。〔…〕

書くことだけではなく、読むことが世界をつくる。読む人のもとで、世界が生まれる。あらたまる。

読んでも、読書をしたという実感が得られない。知識もふえない。そんな人は、無理をする必要はない。人の話をきくだけでもいい。そこから自然に、読書が生まれる。動き出す。

 ――「実学としての読書」

●文学の門|荒川洋治|みすず書房|ISBN9784622075011200912月|評=○

<キャッチコピー>

現状をなげくのではなく、かつて書かれたものを読み返し、「実学としての文学」を考える新エッセイ集。

<memo>

本書で「昭和10年代作家」というククリがあることを知った。伊藤整、高見順、阿部知二、丹羽文雄、石川達三、舟橋聖一、中山義秀、石坂洋次郎、北原武夫、井上友一郎、田宮虎彦など。①1900年から1911年の間に生まれ、②「昭和10年前後」に新鋭作家として登場し、③戦後、純文学の技術を風俗小説、中間小説に生かした流行作家として活躍。④戦争時代の自分の生き方が、作品にも活動にも影のようにつきまとい、⑤作品を書くこととは別のことを、自分のために、社会のために、文学のためにしなくてはならないという観念にとらわれつづけた。⑥彼らの「代表作」は、作品(創作)以外のもののなかにあり、それがいまも読まれる価値がある。――同書「『昭和10年代作家』への旅」

荒川洋治◆読むので思う

荒川洋治ほか◆ことばの見本帖

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