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2010.01.21

津野海太郎●したくないことはしない――植草甚一の青春

20100121tsunositakunai

植草さんの側だけでなく、若い丸谷や篠田にとっても、植草甚一という人物は新鮮な発見だったようだ。

あるときは赤と黒のジャンパーを着たパチンコ好きの「イギリスの馬券屋」(丸谷[才一]) 。またあるときは「本については寛容、人に対しては恩信」をつらぬく温和な「具眼の士(コネスール)」(篠田[一士])――。

しかも、あろうことか、その小さな馬券屋紳士が日本におけるグレアム・グリーンの「戦前からの愛読者」なのである。こういう人には大学世界ではなかなかお目にかかれない。

かれらの眼には、植草甚一が日本社会の意外な成熟度をしめす「ふしぎな人」、アメリカではなくイギリス式の貴重な変人のように映っていたのではあるまいか。〔…〕

かれらとの出会いののち、ようやく植草さんは中年期の鬱屈の底から明るい地表に這いだす。

植草さんがかれなりの「第二の青春」を実現するには、とらわれない眼でかれを評価してくれる新世代の登場が必要だった。

●したくないことはしない――植草甚一の青春|津野海太郎|新潮社|ISBN9784103185314200910月|評=○

<キャッチコピー>

百年前に生まれた、日本一POPな男。外国に行ったこともないのにニューヨーカーみたいで、貧乏なのにお洒落、若者を夢中にさせた老人─。J.J氏の知られざる前半生を、名編集者が明かす。

<memo>

植草甚一は『話の特集』の「緑色ズックカバーのノート・ブックから」というぺダンチックな読み物ではじめて知った。1960年代の終わりころだった。半世紀も前だ。

津野海太郎◆おかしな時代――『ワンダーランド』と黒テントへの日々

高平哲郎■ ぼくたちの七〇年代

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