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2010.01.17

森英介●風天――渥美清のうた

201001morihuten

[山田洋次監督のインタビュー]

「実は49作目を作るならその渥美さんのこだわりもヒントにあって、高知を舞台にして『寅次郎花へんろ』という作品を撮る考えでした。お遍路の旅に寅さんがつきあっているうちに美しい女性に会う物語です。

『花へんろ』というのはもともと、早坂暁さんのテレビドラマのタイトルでしたが、早坂さんの了解ももらってありました」〔…〕「室生犀星の『あにいもうと』がヒントでしたが、渥美さんが亡くなって実現しなかったわけです」

シリーズは199512月に公開された第48作「寅次郎紅の花」が最後だった。〔…〕

お遍路が一列に行く虹の中

いろいろ考え合わせると、この句はやはり渥美清、晩年の心象風景としての辞世の句だったのかもしれない

●風天――渥美清のうた|森英介|文藝春秋|ISBN9784167773359201001月|文庫|評価=◎おすすめ

<キャッチコピー>

俳句が趣味だった渥美清の作品を集め、句作に関する思い出を多くの人に聞いた一冊。全俳句掲載。渥美清の作なのか、「寅さん」の作なのか、読者を惑わせながら、俳号の「風天」そのままに、ノスタルジックで少しさびしい世界へといざなう名句の数々です。

<memo>

朝寝して寝返りうてば昼寝かな

朝寝は春、昼寝は夏の季語。春に朝寝し、そのまま立夏の昼まで寝てしまったというスケールの大きな句、というプロの解釈に目が覚めた。桃井かおり主演、早坂暁の名作ドラマ「花へんろ――風の昭和日記」も見ていた。渥美清のナレーションに「昭和とはどんな眺めぞ花へんろ」など毎回俳句が入り、またイッセー尾形などの句会シーンを覚えています。著者森英介氏が『俳句あるふぁ』誌に連載している「俳句ちょっといい話」に「死語にこだわる」というタイトルで私自身のことを書いてもらったことがある。

私の選んだ10句――

コスモスひょろりふたおやもういない

子に先立たれカンナ咲く

ひぐらしは坊さんの生まれかわりか

納豆を食パンでくう2DK

蓋あけたような天で九月かな

赤とんぼじっとしたまま明日どうする

あと少しなのに本閉じる花冷え

年賀だけでしのぶちいママのいる場末

朝寝して寝返りうてば昼寝かな

お遍路が一列に行く虹の中

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コメント

2013年11月12日朝日新聞デジタル「お遍路が一列に行く虹の中」。松山市沖の無人島・鹿島に、この島を生前「第二の故郷」と呼ぶほど愛した俳優渥美清さんの句碑が建った。
高さ約1・8メートルで、碑文は親交があった市出身の作家早坂暁さん(84)の手による。「下手な句に碑なんてと、渥美ちゃんははにかんでいるでしょう」

投稿: koberandom | 2013.11.12 08:11

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