佐々木譲●暴雪圏
女がどのような死にかたをしたのかは、まだわからない。殺害されたと決めつけるのは早すぎる。失踪をめぐっては不自然な状況があった、と言えるに留まる。 亭主は女の死を知っていたのか? 何か関係しているのか? 捜索願いを出していない理由は何か? 亭主は何か隠していないか? 疑念が、抑えようもないほどにふくらんできた。 落ち着け、と川久保は自分に言い聞かせた。 ろくに情報がないうちから、妄想で遊んではならない。想像力の暴走は止めなければならないのだ。 だいいち自分は、一介の駐在警官にすぎないのだから。 |
●暴雪圏|佐々木譲|新潮社|ISBN:9784104555079|2009年02月|評=○
<キャッチコピー>
十勝平野が十年ぶりの超大型爆弾低気圧に覆われた日の午後、帯広近郊の小さな町・志茂別ではいくつかの悪意が蠢いていた。暴力団組長宅襲撃犯、不倫の清算を決意した人妻、冴えない人生の終着点で職場の金を持ち出すサラリーマン…。超弩級の警察小説。
<memo>
連作短編「制服捜査」の主人公の川久保篤巡査部長が再び登場。今回は小さな町のたった1日の出来事を長編に。
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