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2010.01.19

久世光彦●遊びをせんとや生れけむ

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〈読み人知らず〉 という言葉が、五、六歳の子供のころから好きだった。

この言葉をいったいいつ憶えたのかは定かでないが、まだ小学校へ上がる前だと思う。子供心に、この言葉に何となく神秘と悲劇と浪漫(ロマン)を感じていた記憶があるのだ。〔…〕

もうこの歳になって、作者が知れたところで、何ほどのことでもないかもしれない。

忘れ難い歌と、自分で勝手にイメージする風景があれば、それでいい。それが〈 読み人知らず〉 の浪漫である。

暑い日がつづく。日盛りの道を歩いていて、ふと夏木立の蔭に入ったりすると、おのずから足が止まって、何処かへ何か忘れ物をしてきた気持ちになることがある。

忘れ物を取りに戻るには、遠くへ来過ぎてしまった。それだけではなく、これから先は知っていることまで、〈読み人知らず〉 にどんどんなっていく。そして何もかもが曖昧模糊になったとき、最後に残るのは、いったい何なのだろう。

――「読み人知らず」

●遊びをせんとや生れけむ|久世光彦 |文藝春秋 |ISBN9784163718408 200908月|評=○

<キャッチコピー>

昭和のテレビドラマ黄金期を創った著者、最後のエッセイ集。

<memo>

久世の名エッセイがまだ残っていた。

久世光彦★マイ・ラスト・ソング

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