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2010.02.21

佐々木閑●日々是修行――現代人のための仏教100話

20100221sasakihibi

年をとれば、残りの寿命は減る。体は衰え、記憶も薄れ、背後から死の薄闇が忍び寄る。

しかしだからこそ、年をとった人は、その切ない状況を、我が身のこととして確実に感じることができる。年をとった人には、元気はつらつな青少年には分からない、「人生の本質的な苦しみ」をおのずから感得する力が生まれてくる。

肉体が衰えていくからこそ、そこに宿る心には、生きることの本質を見通す洞察と、そこから生まれる、他者に対する深い優しさが備わってくる。

それは、年をとることのなによりの恩恵である。〔…〕

苦悩を感じ取る力が、心を磨くのだ。

お年寄りはなぜ偉いのか。それは、生きる辛さを知っているから、そして、その辛さを抱えて生きる中で、智慧と慈悲の意味を本当に理解しているからだ。

年をとることそのものが修行なのである。

――「老いることの豊かさ」

●日々是修行――現代人のための仏教100話|佐々木閑|筑摩書房|ISBN9784480064851200905月|新書|評=◎おすすめ

<キャッチコピー>

あらゆる苦を生み出すものが「この私」であるなら、心を鍛え、私自身を変えることで、苦しみから自由になれるはずだ。現代に生きる私たちにとって、ひたすら信じる救済の宗教よりも、釈迦本来の合理的な教えの方が、むしろ馴染みやすい。初期仏教の思想をベースに、生活に結びつく叡智を100話で紹介。

<memo>

死に向かう素粒子物理学者が、畏敬をこめて何度もふれていたのが、本書ももとになった佐々木閑の新聞掲載コラム。「死に際で判断するな」「自殺は悪でない」「小乗が大乗か」「精いっぱいの死に方」など、引用したい箇所がいくつもある。たまたまビデオで、重い痴呆症の女性に物語を読み聞かせる映画「きみに読む物語」を見た後なので、上掲の「老いることの豊かさ」を選んだ。

戸塚洋二/立花隆●がんと闘った科学者の記録

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