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2010.02.02

井上ひさし●ふふふふ

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ワープロソフトや携帯電話機を用いれば、『読めさえすれば書ける』ようになりました。

もっと正確には、日本語でモノを書こうと思えば、その読み通りにキーを打てばよい。いわば日本語は、読む、書く、そして打つの、これまで想像もしなかった次元に突入した。

すなわち読み書き分離の時代に入ったのです。

そんな時代に、日常で使う漢字の範囲を定めることになんの意味があるでしょうか。これまでの、読める漢字は書けなければならないというやり方は破産したのです。とするならば、これからの漢字教育は、

一、日本国憲法で使われている漢字、六百三十字の偏旁冠脚(漢字の構成部分)を徹底して教えて、それを通して漢字の骨組みそのものを体得させ、

二、日本語で書かれた作品(日本語のリズムのおもしろさや心地よさを盛ったもの、日本語の明快さをよく発揮したものなど)を暗唱朗読させて、日本語の発音を教えながら漢字の機能を感じ取らせ、

三、国語辞典の使い方を丁寧に教え、

四、そして役所や裁判所の公文書や新聞雑誌では振り仮名を多用する。

――「夢想」

●ふふふふ|井上ひさし|講談社|ISBN9784062159364200912月|評=△

<キャッチコピー>

世間を見渡せば、苦笑、失笑、嘲笑、哄笑するばかり。笑い飛ばしてしまいたいのは、やまやまなれど─苦みと渋味のたっぷりきいた身辺雑記。

<memo>

「小説現代」連載コラム。好きだった作家が老いてゆくのはさびしいかぎり。

井上ひさし◆ボローニャ紀行

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