櫂未知子●俳句力――上達までの最短コース
俳句を続けている中で、最も腹立たしく、プライドを傷つけられ、しかし、そういわれてみると……という気がしてくる評とはどういったものでしょうか。それはもしかすると、「この句の季語は動く」という評ではないでしょうか。〔…〕 「でも、そこには本当にたんばぽが咲いてたんです」「実際に林檎を食べたんです」と譲らない人がいます。たしかに、たんばぽも林檎も事実だったのでしょう。 しかしながら、一句全体をきりりと仕上げる役割をその季語が本当に果たしているのか、いや、それ以前に、季語以外の部分がきちんとしているかを考えなければなりません。〔…〕 季語以外の部分がうまくできていなければ、どんな季語を持って来ても、句はどことなく半端な印象になります。 つまり、「季語さえぴったりならば、いい句になる」のではなく、他の部分があまりにも未完成であるために季語もゆるんで見えてしまう、そういうことなのです。 |
●俳句力――上達までの最短コース|櫂未知子|角川学芸出版|ISBN:9784046212757|2009年05月|評=△
<キャッチコピー>
「17音の俳句と標語」「定型を守る」等、入門的な内容から、「比喩と直喩」「推敲」等、実作のポイント、そして「旧仮名の呪縛」「音便」等、今さら聞けない基本的で重要な問題まで、丁寧にやさしく解説する。
<memo>
初心に帰ろうと久々に俳句の本を買った。「今さら聞けない基本的で重要な問題」を「やさしく解説する」というキャッチコピーにひかれて。しかし「今さら聞けないこと」とは、旧かなの使い方のことだった。類書と比べ抜きん出ている部分がない。
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