北村薫●自分だけの一冊――北村薫のアンソロジー教室
わたしは若い頃、《アンソロジーつて、どうしてあまり面白くないものが、多く採られているんだろう》と思いました。〔…〕 当たり前のことですが、作品を評価する物差しは人によって違うんですね。だからこそ、様々なタイプのアンソロジーが生まれる。 それからね、『古今』や『新古今』みたいな勅撰集だと配列に工夫する。つまり、歌集なんかだと、名作ばかり並べてもいけないんです。超傑作ばかりだと、読者が疲れてしまう。 駄作ではないんだけれど、《これはいいな》程度のものが入っていないと傑作がきらめかない。 若い時は欲張りになりがちですが、あまり強欲になってもいけない。この辺も、アンソロジー作りの妙味でしょう。 |
●自分だけの一冊――北村薫のアンソロジー教室|北村薫|新潮社|ISBN:9784106103452|2010年01月|新書|評=○
<キャッチコピー>
高校の国語教師の経験もあり、人気作家にしてアンソロジーの名手である著者が教えてくれるのは、ゆったりとした気持ちで好みの作品を見つけ、自分だけの本を編む愉しみ。好評を博した特別講義を完全再録。
<memo>
〈アンソロジーの楽しみ〉と題して、著者が新宿の朝日カルチャーセンターで行った講演の記録。当方も本ブログで〈ノンフィクション100選>というアンソロジーを編む途中。
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