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2010.03.11

高田郁●花散らしの雨――みをつくし料理帖

20100311takatahanatirashi

蕗の葉を落とし、いくつかに切ると、たっぷりの塩で丁寧に板摺りする。鍋に湯を沸かし、さっと茹でたら水に放つ。

「こうすると灰汁(あく)が抜けて美味しくなるの。あ、葉はあとで使うから捨てないでね」

筋を取ってみせながら、清はふきに優しく教える。

「蕗には無駄なところがひとつもないのよ。とても偉い野菜だわ」〔…〕

「偉い野菜?」

「そう、とても偉いの。葉も茎も美味しく食べられるし、こうして出た筋でお鍋を擦ると汚れが綺麗に落ちるから」〔…〕

澪は油揚げを使おうとして、止めた。蕗だけの旨さで味わうご飯も良い、と思いついたからだ。塩と酒を加え、食べやすい大きさに切った蕗を入れて飯を炊く。炊き上がる間に灰汁抜きした葉と雑魚とで炒め煮を作った。

炊き上がった蕗ご飯を捌き、ひと口、頬張る。澪は満足そうに領いて、茶碗に少し装うと、はい、味見、とふきに差し出した。

――「俎橋から-ほろにが蕗ご飯」

●花散らしの雨――みをつくし料理帖|高田郁|角川春樹事務所 |ISBN9784758434386 200910月|文庫|評=○

<キャッチコピー>

おいしい時代小説、みをつくし料理帖第2

<memo>

ほろにが蕗ご飯――巻末掲載のレシピ

◇材料(4人分)

蕗…… 3本、米…… 2カップ、塩……小さじ1、酒……大さじ1

◇下ごしらえ           

*蕗は葉を落とし、鍋に横にして入る程度に切り揃え、たっぷりの塩(分量外)で板摺りしておきます。

*米は洗って、充分に吸水させておきましょう。

◇作りかた

1 たっぷりのお湯で蕗がしんなりする程度に湯掻きます(湯掻き過ぎに注意)。

2 水に取って暫く置き、皮を剥いて、1.5cm幅に揃えて切ります。

3 炊く用意をした米に、酒と塩、2の蕗を入れて炊き上げます。

◇ひとこと

蕗の色と歯触りを大切にするために、炊き上がったご飯に蕗を混ぜ込む方法もあります。澪の調理方法では、色と歯触りを残しつつ、蕗の野趣あふれる味わいを堪能できます。「そうそう、この味」と思って頂けるかと。

高田郁●八朔の雪 ――みをつくし料理帖

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