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2010.04.23

澤地久枝●家計簿の中の昭和

20100423sawatisyowa

昭和56年の初夏、渋谷税務署の調査があった。〔…〕

個人の所得は、たとえば印税の場合、初版印税の25パーセントか30パーセントを必要経費の上限として、それ以上は経費として認めない。

わたしのように、印税全額を投じても足りないような経費は、税法上成立しないことになる。〔…〕「あなたのような仕事こそ、法人にするべきで、それは、脱税ではなく、節税です」〔…〕

いくつかのテーマを提出して、「サンデー毎日」編集部が「ミッドウェー海戦の生と死」を選んだあと、わたしは小さな法人(有限会社)をつくった。

全収入は法人に入り、調査実費、人件費その他、必要な費用は会社が支払う。法人と個人と、それぞれに所得税、地方税の支払いがあり、法人税は高率だった。しかし、法人にしていなかったら、ミッドウェー海戦の日米全戦死者確認の仕事は確実に頓挫した。あの税務署員の理解と誠実な対応に救われたのだ。〔…〕

『滄海よ眠れ――ミッドウエー海戦の生と死』に費やした金額は、5千万円くらいと思う。

●家計簿の中の昭和|澤地久枝|文藝春秋|ISBN9784163690001200703月|評=○

<キャッチコピー>

何十年もの間、著者は毎日の金銭の出入りを記録し続けてきた。旧満州からの引揚げの決算、戦後初めてかけたパーマ代、安保の年の結婚費用、向田邦子と旅した世界旅行の代金、石油危機の買溜め品、そして終の棲家の建築費―。家計簿の中の数字を通して、昭和という時代を生き生きと描く珠玉のエッセイ集。

<memo>

ノンフィクションは時間と金がかかる。

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