岸本葉子●俳句、はじめました
読者の高度な鑑賞眼を信じよとは、これまでの句会でも、たびたび言われた。 私はそれを、読者は高度な鑑賞眼を有しているのだから、ごまかしがあってはいけない、と受け取って、ゆえに、こうした第一次の感動なしに、無理やり成立させた句を、読者の目にふれさせては失礼との躊躇があった。 でも、逆なのだ。 読者は、制作過程など詮索せず、十七文字そのものを読み、その人のありたけの力で鑑賞してくれる。それまでの知識、経験、人生観を総動員して、句にあたるのは、詠む側だけでなく、読む側だって、同じである。 だから思いきって托せばよい。 自己批判より、他人の評にゆだねるのだ。 |
●俳句、はじめました|岸本葉子|角川学芸出版|ISBN:9784046214669|2010年01月|評=△
<キャッチコピー>
人気エッセイスト・岸本葉子が俳句をはじめ、悩み、驚き、笑い、学んだ怒涛の日々をリアルに綴る。俳句にふれたことのない方にも刺激的な、これまでになかった俳句入門エッセイです。
<memo>
俳人による入門書はあまたあるが、初心者側から書かれたタイトルどおりの本。始めたころを懐かしめるが、作句の参考になる本とは言えない。それにしても自転車操業のエッセイストはたいへんだな。
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