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2010.05.28

高田郁●想い雲 ――みをつくし料理帖

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しゃりしゃり、という衣擦れのような音をさせながら、包丁が小気味よく鱧の身の上で躍る。皮一枚のみ残して、一寸の身に二十五、六もの筋が入るのを見て、伝右衛門が思わず感嘆の声を洩らした。〔…〕

沸騰した湯に鱧の身を放つと、花が咲いたように丸く美しく広がる。掬い取って、今度は冷水に落とす。水気を拭い、鉢に装って酢味噌を添えた。〔…〕

粗野で忌々しいまでに獰猛な魚が、よもやこのように美しい純白の身を持っているとは思っていなかったのだ。

「しかし、毒があるはずでは」

箸を取ることを躊躇う楼主に、澪は軽く首を振ってみせる。

「火を通せば毒は消え、旨みへと変わるのです。召しあがってみてください」

――「ふっくら鱧の葛叩き」

●想い雲 ――みをつくし料理帖|高田郁|角川春樹事務所|ISBN9784758434645201003月|文庫|評=○

<キャッチコピー>

書き下ろしで贈る、大好評「みをつくし料理帖」シリーズ。豊年星─「う」尽くし/想い雲─ふっくら鱧の葛叩き/花一輪─ふわり菊花雪/初雁─こんがり焼き柿の4篇。

<memo>

料理で季節感を味わう時代小説第3作。江戸では食べない鱧(はも)を江戸を舞台にどう料理するかが興味津々。

高田郁●八朔の雪 ――みをつくし料理帖

高田郁●花散らしの雨――みをつくし料理帖

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