高橋三千綱●素浪人心得――自由で愉快な孤高の男の生き方
退職し、肩書がなくなったということは、過去の地位にもう拘泥することも、責任感を持つこともないのである。 結果なんかどうでもいい。つまり、組織というこれまで自由を奪われていた強固な城から解放されて、自分だけの才覚で生きていくことができるようになったということなのである。 喜ばしいことではないか。ずっとそれを望んでいたはずなのに、それが現実になったとたん、オロオロしたり、急に老け込んだり、声に出して世をはかなんだりするのは女々しすぎる。〔…〕 「これからは仕事を評価されることもない。何かを達成しても尊敬されることもない。しかし、それこそオレが望んでいたオレだけの世界への挑戦なのだ。会社でつくられた栄光など古い上着と同じだ。もう捨ててしまえ。さあ、新しい一歩を踏み出すのだ」 そう口にするだけで、過去のプライドが色あせていく。まだ鬱になったように沈んでいる同期の者を見ると、そのぬかるみから抜け出すのは誰でもない、お前自身の力でやるしかないんだ、と激励したくもなるはずだ。 |
●素浪人心得――自由で愉快な孤高の男の生き方|高橋三千綱|講談社|ISBN:9784062692861|2010年01月|評=◎おすすめ
<キャッチコピー>
還暦男の悟った生き方!「気楽に生きる極意」「退屈な時間をいかに楽しめるか」「孤独感を味わう深み」…還暦を迎えた著者が、自らの過去・現在・未来を語り、自由気儘に生きる術を伝授。
<memo>
「シニアの未来を明るく照らすもの」を狙ったようだが、「己の懺悔の書のように陰々滅々としたものが出てきて、私はがっくりと」云々とある。たしかに。
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