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2010.06.29

鹿島圭介●警察庁長官を撃った男

20100629kashimakeisatu

警察庁に対する潜入諜報活動を進めたところ、同庁は危機感もなく一般業務をつづけており、全くのぬるま湯的状態でした。〔…〕

 

私はこの憂慮すべき事態を放置すれば、ふたたび一般市民が巻き込まれる無差別テロが発生する危険があるから、警察は総力をあげて、教団への徹底的な追及を行い、制圧行動を強力に推進して武装解除を推し進めるべきだと考えました。

そこまで警察幹部たちを奮起させるためには、“オウムを完全に制圧しなければ、自分自身の生命が危うくなる”と心底から実感させなければいけない。〔…〕

そこで我々は、オウム信者を装って、警察の最高指揮官である警察庁長官を殺害するのが最も効果的であると判断するに至ったのです。

そこには警察の怠慢を厳しく糾明し、組織のトップに責任をとらせるという思いも加味されていましたが、そうすれば、後継者がオウム制圧に全力を傾注し、市民の不安は解消されるというのが我々の達した結論でした。

●警察庁長官を撃った男|鹿島圭介|新潮社|ISBN9784103235316201003月|評=○

<キャッチコピー>

国松長官狙撃事件。一人の謎めいた男が犯行を詳細に自供していた!男の名は中村泰。現金輸送車襲撃で見せた射撃の腕前は、とても70歳を過ぎた老人とは思えない。中村の関係先を捜索すると、おびただしい量の銃やマシンガン、実弾が発見され、さらに長官狙撃事件に関する膨大な資料が……。重要未解決事件の舞台裏に光を当てる、迫真のドキュメント。

<memo>

怪訝な表情を浮かべている私に、幹部は諭すように語りかけた。「それだけ証拠を集めたのだから、中村の線で逮捕状をとれば、起訴もできるし、裁判で有罪にだってできるだろう。長官狙撃事件は全面解決となる。しかし、それはできないんだ。この事件は、オウムでゴールする。それはもう決まっていることなんだ。強制捜査にしろ、書類送致でお茶を濁すにしろ、あるいは、そのまま時効にしてしまうにしろ、いずれにせよ、事件はオウムの犯行だったという印象を残して、2010330日の最後の日を迎えるんだ。それで、特捜本部は解散となる」(本書)

警察庁長官狙撃事件のノンフィクション3

谷川葉●警察が狙撃された日

1998.02三一書房/2002.10講談社α文庫

オウム信者の現職警察官の犯罪を、警察庁対警視庁、公安部対刑事部というどろどろした対立を中心に無能な幹部像を描く。執筆者は複数?哲学的文体が読み辛い章も。

鹿島圭介●警察庁長官を撃った男

2010.03|新潮社

犯人は、かつて現金輸送車襲撃事件を起こした男。オウムに破壊される国を憂い、警察庁・警視庁を奮起させるのが動機であったと告白する。詩を書く不思議な日本人である。

竹内明●時効捜査――警察庁長官狙撃事件の深層

2010.04|講談社

お粗末な捜査ミスの繰り返し、それを隠蔽するのにエネルギーを注ぐ警視庁、警察庁、検察庁の三つ巴の軋轢を描き、オウム犯罪に肉薄する。犯人は北朝鮮ルートを暗示する。

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