森達也●誰が誰に何を言ってるの?
街頭に設置されたカメラを、反権力志向の市民たちは「監視カメラ」と呼び、警察や行政は「防犯カメラ」という言葉を使う。 警察や行政にとって「監視」は使いたくない言葉であり、認めたくない本音だったはずだ。だからこそかつては、「防犯カメラ作動中」という表示が普通だった。 でもいつのまにか変わってきた。本音を隠さなくなってきた。 ちなみに下に記された「SURVEILLANCE」の訳は、「監視」が一般的。防犯の意味はない。もちろん「監視中」ではなく、「作動(稼動)中」と訳すべきだろう。 しばらく眺めていたけれど、この表示の前で足を止める人はいない。「監視中」と言われても何の違和感もないようだ。気にして立ち止まるほうがどうかしているのだろうか。 |
●誰が誰に何を言ってるの?|森達也|大和書房|ISBN:9784479392002|2010年03月|評=△
<キャッチコピー>
テロ警戒中・特別警戒実施中・防犯カメラ作動中、これ、多すぎじゃない? やがて規制が変わり、システムが変わる。世相が変わり、法が変わる。そして、意識が変わる。僕たちが知らない間にゆっくりと。
<memo>
読者投稿の写真、「特別警戒実施中」「警察官立寄所」「ご利用後は必ずボタンを押して水を流して下さい」など、どこにでもある表示についての考察。
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