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2010.06.17

中山茂大/阪口克●世界のどこかで居候

20100617nakayamasakaguchi

食事が終わると、男たちは待ちかねたようにビニール袋を取り出した。枝付きの葉っぱが包んである。それがイエメン名物の「カート」であった。〔…〕

カートは樹高3メートルほどの木で、若葉や新芽に弱い覚醒作用があり、長く噛んでいると空腹や疲労を感じなくなる。

要するに一種の麻薬なわけだが、事実上の政府公認で、誰でも手に入れることができる。〔…〕

しばらくすると、喉のあたりが腫れてシビレたような感覚になってきた。ツバを飲み込むのもツライ。そして夕方を過ぎてもまったく腹が空かない。〔…〕

カートパーティーは、よほどの用事がない限り、日暮れまで続く。午後のほとんどの時間はカートに費やされるので、彼らの畑は、商品作物としてのカートと、栽培に手間のかからないトウモロコシや雑穀が、大部分を占めている。

カート畑は年々増え続け、この国の希少な輸出商品であるコーヒーの畑は、そのぷん減少傾向にあり、深刻な国内問題になっているそうだ。

しかしそんな問題提起もカートパーティーで行われるのであり、根本的な解決策など見つかるはずもないのであった。

――「イエメン」

●世界のどこかで居候|中山茂大・文/阪口克・写真|リトル・モア|ISBN9784898152836201002月|評=○

<キャッチコピー>

一泊二泊ではお客さん、三日を過ぎて「いてもいなくてもどっちでもいい」と思われて初めて居候。モンゴル、イエメン、パプアニューギニア、インド、モロッコ、ネパール、カンボジア─ライター&カメラマンの「居候」コンビが覗いた、世界のどこかのふつうの人のふつうの暮らし。

<memo>

冒険ではないが、普通のツアーでは経験できない。肩の力を抜いた居候生活。モロッコで禁じられているビールを飲んだり、パプアニューギニアでブタの丸焼きを食べたり……。

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