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2010.06.18

夏樹静子●裁判百年史ものがたり

20100618natsukisaiban

いよいよ首相に提言する前の中間報告案は、議員たちの手で、68日に作られた。

その文案を見て、岡村は激しいショックを受けた。そこには「被害者の権利」という言葉が…も入っていない。代わりに「被害者支援の実現」など、「支援」の文字がちりばめられている。

おそらくこの文案には、法務省など関係省庁の強硬な抵抗が働いているのだろうと、岡村は推察した。刑事手続きに被害者の「権利」を認めれば、日本の刑事裁判の構造を根本から揺るがすことになる、と。〔…〕

「われわれ犯罪被害者が一貫して主張し続けてきたのは、かけがえのない肉親や自分自身を加害者によって奪われ、傷つけられた当事者としての正当な〈権利〉なのです。

                                                             

われわれは〈尊厳を持った主体〉として、司法に参加する権利を求めているのです

数日後、最終的に報告案が発表された。そこには「支援」の文字はなく、〈犯罪被害者の権利を守り)という言葉と理念が十分に盛りこまれていた。

――「被害者の求刑」

●裁判百年史ものがたり|夏樹静子|文藝春秋|ISBN9784163723303201003月|評=○

<キャッチコピー>

誰でも裁判員になる時代、必読のノンフィクションノベル。ロシア皇太子襲撃/明治天皇暗殺謀議/昭和の陪審裁判/翼賛選挙が無効になった日/チャタレイ夫人の衝撃/悲しみの尊属殺人など。

<memo>

「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」が成立し、2009521日から裁判員制度が始まった。日本の司法を変えた重大事件をベテラン作家が描く。12の事件の選定が見事。

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