松山巌●ちょっと怠けるヒント
雑学雑談も大いに大事だとは思う。ともかく食事や酒の味付けになる。 「なぜ秋には空腹を感じやすいか」〔…〕「なぜほろ酔いの人の方が酩酊している人よりいっそう狂おしいか」「結婚披露宴にはなぜはかの宴より多くの客を招くのか」「役者が怒りや悲しみを演じるのは楽しめるが、人がほんとうに怒ったり悲しんだりしているのを楽しむことはできないのはなぜか」 妙な問題ばかりだが、じつはこれらの問題は1世紀後半から2世紀初頭にかけて、ギリシャ人が宴会で話題にしたテーマの一部。〔…〕 雑学雑談もしかし、相手があってのことだ。過ぎれば相手はクタビレルだけになる。沈黙よりむしろ相手の話をまずは聞くことである。上手い話し手は知識をひけらかさず、ちょっと話題を口にし、相手の話題を引き出すと気づくだろう。 雑はあまりものだからこそ、さまざまなコトとモノを支えている。雑用雑事こそ世界を動かしている。 しかしあくまで雑なのだ。ちょっとのことなのだ。そこに価値がある。 ――「世は雑用雑事」 |
●ちょっと怠けるヒント|松山巌|幻戯書房|ISBN:9784901998567|2010年03月|評=○
<キャッチコピー>
便利なほどクタビレル/人間は猫ほど進化していない/整理整頓は習いになるか/猫になれず、虫になりたがる/ワガママの覚悟/怠け者の人徳/成長著しく動作も活発/掟破りの怠け者
<memo>
本書によれば、ウィキペディアの著者の紹介に「寡作ながら受賞率が異常に高い、謎の人物である」とあるそうだ。確かに。
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