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2010.07.22

福岡伸一●ルリボシカミキリの青

20100722

私は、狂牛病を研究しているので、病原体プリオンについての小難しい著書がある。H大学には、わざわざそこから一文を引用していただいた。

「ヨーロッパでは、古くから羊、牛、ブタなどの家畜から食用肉を取り去った残りの部分の廃物やくず肉を集めて加熱し、有機溶剤で脱脂した肉かすを……」。病気の原因となった肉骨粉飼料についての記述である。

「羊」に二重線が引いてあり、問題文にはこうあった。

「羊」とあるが、『羊たちの冒険』や『ノルウェーの森』などの小説の作者として知られる小説家をひとり選べ。

ァ芥川龍之介 イ村上春樹 ウ川上弘美 工宮部みゆき オ泉鏡花。

これって私の文とどういう関係が……? 問題作成者の好きな作家はよくわかりましたが、それをいうなら『羊をめぐる冒険』でしょ。そうか、トマス・ハリスも好きなんですね。あのー、もひとついいですか。『ノルウェの森』。

――「入試問題頻出著者」

●ルリボシカミキリの青|福岡伸一|文藝春秋|ISBN9784163724300201004月|評=○

<キャッチコピー>

朽ちかけた木の襞に、ルリボシカミキリがすっとのっていた。嘘だと思えた。しかしその青は息がとまるほど美しかった。それは福岡ハカセがハカセになるまえの、まぎれもないセンス・オブ・ワンダーの瞬間だった。

<memo>

「週刊文春」連載の「福岡ハカセのパラレルターン・パラドックス」の単行本化。上掲「入試問題頻出著者」に大手予備校の「大学入試現代文頻出著者ランキング」。内田樹、池田晶子、鷲田清一、養老孟司……。

福岡伸一■ 生物と無生物のあいだ

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