森繁建/和久昭子●人生はピンとキリだけ知ればいい――わが父、森繁久彌
「美味いか、不味いかなんてまだ分からないだろう。だがな、これは灘の有名な酒だ。いい酒というのは、こういう味がするのだと覚えておきなさい。
いいか建。人生はな、ピンとキリだけ知っておけばいい。真ん中というのは普通に生きていれば嫌というほど味わえる。酒だけじゃない。仕事でも人間関係でも、あらゆる物事は、ピンとキリをちゃんと知っていれば、自然と真ん中も知るようになってくる。そういうものだ」
いずれ、私がどこかで同じ酒を口にした時、「あ、このお酒は前に飲んだことがある」と思い出せば、その場での会話も弾みます。学生ですから分相応のお酒を飲むのもいいが、何らかの機会に備えて、いいお酒の味も覚えておけというのです。
高くて美味しいお酒を、いつでも飲めるような人間になれ――ではないのですね。
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●人生はピンとキリだけ知ればいい――わが父、森繁久彌|森繁建/和久昭子|新潮社|ISBN:9784103250418|2010年05月|評=△
<キャッチコピー>
次男と長女によって初めて明かされる稀代の名優・森繁久彌の実像。家族だけに見せたエピソードと名文句を、プライベート写真と共に涙と笑いで振り返る。
<memo>
最終的に父は、二十数冊の本を出版しました。この中で、ただの一冊、いや、一ページすら他人、つまり世に云う「ゴーストライター」の手に委ねた事はありません。(本書)
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