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2010.08.05

藤原美子●夫の悪夢

20100805

「あのー、藤原正彦先生でいらっしゃいますか。こんなところでお会いできるなんて夢のようです。わたくし、先生の大ファンなのです。本は全部、読んでおります」

主人は照れ臭そうに、しかし嬉しそうに「ええ」とか「ありがとうございます」などと、もごもごしながら受け答えしていた。〔…〕夫は後ろにいる私のほうを振り向いた。そして「あ、これが愚妻です」と言った。〔…〕

「なぜ、『これが愚妻です』なんて紹介しなければいけないの。いちいち私のことを持ち出す必要もないのに」

「だって言っておかないと、愛人と一緒だったなんて言われかねないよ。〈『国家の品格』の著者の品格〉、とか〈愛人と花の京都で品格ある密会〉なんて週刊誌に書かれるかもしれないよ」〔…〕

桜の下を歩きながら、夫が大きくため息をついた。

「ああ、ベストセラーのせいで顔が知られてしまった。悪いことが何もできなくなっちゃった。女性とホテルにも行かれない人生なんて、なんのために生きているのかわからないよ」

――「京都の桜」

●夫の悪夢|藤原美子|文藝春秋|ISBN9784163724706201004月|評=○

<キャッチコピー>

藤原正彦教授の夫人が綴る家族の記録。夫のユニークすぎる教育理論と戦いつつ、イケメン息子3人を育てた抱腹絶倒のエッセイ。

<memo>

賢夫人による“家族自慢”本。夫君はその著書で見せる面白イメージそのまま。

藤原正彦■ この国のけじめ

藤原正彦■ 国家の品格

藤原正彦●名著講義

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