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2010.09.29

加賀乙彦●不幸な国の幸福論

20100929

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それでなくても高齢者は、自分の体や頭が思うように動いてくれない苛立ちや、これまでできたことができなくなっていくことに対する焦りや不安を抱えています。

その一方で、組織の一員として働いていたころと違い、立場を考えて理性で怒りを抑制しなければといぅプレッシャーは減っている。

よく「年をとると人間が練れてくる。まるくなる」などと言われますが、そういう人は意外に少ないのです。〔…〕

年をとると感情のコントロールができにくくなるだけでなく、頑固になったり、思い込みが激しくなったりと、精神の柔軟さも失われがちです。

肉体や外見の老化は比較的すんなり受け入れられた人でも、目に見えない心の老いとなるとなかなか認められない。そのかたく結果、周囲の人とうまくいかなくなり、ますます頑なになって孤立してしまう高齢者も多いようです。

●不幸な国の幸福論|加賀乙彦|集英社|ISBN9784087205220200912月|新書|評=○

<キャッチコピー>

実は日本人は自ら不幸の種まきをし、幸福に背を向ける国民性を有しているのではないか─。追い求めている間は決して手にいれることのできない「幸福」の真の意味を問う、不幸な時代に必読の書。

<memo>

「まずは自身の肉体と頭脳と精神が衰えたことを認め、さらに老いていくのだという現実をしっかりと受け止める必要があるのだ」と著者は言うのだが……。

加賀乙彦■ 夕映えの人

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