« 司馬遼太郎●竜馬がゆく(二) | トップページ | 司馬遼太郎●竜馬がゆく(四) »

2010.09.14

司馬遼太郎●竜馬がゆく(三)

3

*

竜馬は三味線が弾ける。〔…〕

中身は酒である。ぐいっ、と飲みほし、音色をしらべていたのが、やがて、寺田屋殉難の志士を弔う即興の端唄をうたいはじめた。〔…〕

咲いた桜に

なぜ駒つなぐ

駒が勇めば

花が散る〔…〕

竜馬は、さらに一曲。

何をくよくよ川端柳

水の流れを見て暮らす

人生流転。

生死はもと一つで、単に形を変えたものにすぎない。竜馬の、かれらへの弔詞のつもりであった。

この寺田屋での即興の二つの唄はいまでも酒席でうたわれているが、竜馬が寺田屋を血に染めて死んだ連中に捧げた唄だとは、多くは知らない。

●竜馬がゆく()|司馬遼太郎|文藝春秋|196366/文庫版1975|評=◎おすすめ

<キャッチコピー>

竜馬は、幕府の要職にある勝海舟と運命的な出会いをする。勝との触れ合いによって独自の道を歩き始めた。生麦事件など攘夷熱の高まる中で、竜馬は逆に日本は開国して、海外と交易しなければならない、とひそかに考える。そのためにこそ幕府を倒さなければならないのだ、とも。

<memo>

薩摩の殿様(ただし藩公の実父)島津久光への恨みと皮肉をこめた唄である。

咲いた桜、とは、有馬新七以下の暴発組の連中のことだ。かれらは、志に花を咲かせてこの寺田屋に屯集した。そこへ、久光は、奈良原喜八郎らの慰留団(じっは討手)をさしむけた。

いずれも薩摩ぶりの勇んだ者で、竜馬はこれを駒に見たてている。島津久光は、咲いた桜に駒をつないだ。駒が勇めば、花が散るのがあたりまえではないか。無用、無用、という意味である。(本書)

|

« 司馬遼太郎●竜馬がゆく(二) | トップページ | 司馬遼太郎●竜馬がゆく(四) »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 司馬遼太郎●竜馬がゆく(三):

« 司馬遼太郎●竜馬がゆく(二) | トップページ | 司馬遼太郎●竜馬がゆく(四) »