重松清●百年読書会
* うば捨ては悲しく残酷な因習です。それを認めながらも、三重県のぽこさん(50)は〈なんともいえないすがすがしい気持ちになったのが自分でも不思議だった〉と首をかしげます。〔…〕 そんな読後感は〈「こうすることが一番なんだ」という、おりんの迷いのない潔さ〉(埼玉県・ふーさん・47)から生まれ、その潔さがあるからこそ、読者は〈親を捨てる辰平や玉やんが迷いやつらさを持っていることに、ホッとする〉(東京都・鎌田佳寿子さん・46)のかもしれません。 〈楢山へ向かうおりんと辰平の姿は、究極の愛に満ちているように見えます〉(福岡県・和泉津夕子さん・35)〔…〕 だからこそ、兵庫県の川上陽子さん(33)は、辰平が最後におりんに告げた「おっかあ、ふんとに雪が降ったなァ」の一言に親子の深い情を感じ、こんなふうに問いかけるのです。 〈社会からも家族からも切り離されて死んでいく現在の老人には、辰平すらいない。 死に際にこんなに哀切で愛情あふれた言葉を抱えて死んでいける老人はいるのだろうか〉 ――「楢山節考」 |
●百年読書会|重松清|朝日新聞出版|ISBN:9784022733450|2010年07月|新書|評=○
<キャッチコピー>
重松清が時代を超えて読み継がれる12の名作を選び、全国の読者が朝日新聞紙上で感想を寄せ合った。参加者は12歳から97歳まで投稿総数は1万3000通におよぶ大読書会。
<memo>
う~ん、読んでいないのが3冊あります。太宰治─斜陽/深沢七郎─楢山節考/向田邦子─あ・うん/夏目漱石─坊っちゃん/大岡昇平─俘虜記/幸田文─おとうと/松本清張─砂の器/内田百閒─ノラや/宮沢賢治─銀河鉄道の夜/川端康成─雪国/開高健─オーパ!/三島由紀夫─金閣寺。
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