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2010.09.19

司馬遼太郎●竜馬がゆく(八)

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この長い物語も、おわろうとしている。人は死ぬ。

竜馬も死ななければならない。その死の原因がなんであったかは、この小説の主題はなんのかかわりもない。

筆者はこの小説を構想するにあたって、事をなす人間の条件というもの考えたかった。

それを坂本竜馬という、田舎うまれの、地位も学間もなくただ一片の志のみをもっていた若者にもとめた。

主題は、いま尽きた。

その死をくわしく語ることは、もはや主題のそとである。

●竜馬がゆく()|司馬遼太郎|文藝春秋|196366/文庫版1975|評=◎おすすめ

<キャッチコピー>

慶応31013日、二条城で、15代将軍徳川慶喜は大政を奉還すると表明した。ここに幕府の300年近い政権は幕を閉じた。――時勢はこの後、坂を転げるように維新にたどりつく。しかし竜馬はそれを見とどけることもなく、歴史の扉を未来へ押しあけたまま、流星のように…。

<memo>

雨戸のむこうで、虫が鳴きはじめた。

「おや、京でも草雲雀が鳴くのか」

竜馬は、枕のうえで耳を澄ました。草雲雀は、鳥ではない。草の虫であった。夜があけ染めるとき、暁闇のなかで、鈴を鳴らすような声で鳴く。竜馬の幼いころ、乳母のおやべさんが、

「草雲雀は小柄ながらも、夜を明けさせるのでございますよ、坊ちゃん」

と話してくれた。その虫であった。

(おれも、草雲雀だな)

竜馬は、ねむった。(本書)

本書が書かれた当時、官尊民卑の日本史では竜馬はほぼ無名に近い存在であった。竜馬のキャラクターは司馬遼太郎によってつくられ、「薩長連合」「大政奉還」での役割が掘り起こされ、日本史に正当に名を残すことになった、と思われる。本書は平尾道雄『坂本龍馬 海援隊始末』に多く依存している。

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