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2010.09.15

司馬遼太郎●竜馬がゆく(四)

4

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空が真青であった。

南海の土佐も空が美しいが、なお水蒸気が多い。長崎の空はその程度のものではない。東シナ海の空の青さが、そのまま長崎にまでつづいているという感じである。

「勝先生、京のさきは大坂にすぎず、江戸のさきは小田原にすぎませんが、

長崎のむこうは上海ですな」

竜馬の胸中に、構想がうかんだ。

かれの夢想である私設艦隊の根拠地はここ以外にないとおもったのである。

対上海貿易で利をかせぎ、それをもってどんどん軍艦をふやし、日本最大の海上王国をつくり、かたわら、薩長と連合して幕府を倒そうとおもった。

●竜馬がゆく()|司馬遼太郎|文藝春秋|196366/文庫版1975|評=◎おすすめ

<キャッチコピー>

志士たちで船隊を操り、大いに交易をやり、時いたらば倒幕のための海軍にする――竜馬の志士活動の発想は奇異であり、ホラ吹きといわれた。反動の時代―長州の没落、薩摩の保守化、土佐の勤王政権も瓦解した。が、竜馬はついに一隻の軍艦を手に入れたのであった。

<memo>

乙女(竜馬の姉)に似た快活な女性が多く登場する。おりょう(竜馬の妻)、お登勢(寺田屋の主人)。お田鶴(三条実美に仕える土佐藩家老福岡家の娘)、さな子(千葉道場の娘)、お元(長崎丸山の芸妓)、大浦慶(長崎の茶商)など。作者はおりょうがあまり好みではなかったようで、あとがきに以下の記述がある。

――「まことにおもしろさ女にて」とは、竜馬が手紙で乙女に紹介したおりょうの人柄である。が、竜馬の目からみるときらきらと輝いてみえたおりょうの性格は、他の者の冷静な目からみればそのあたらしさは単に無智であり、その大胆さは単に放埓なだけのことであったのだろう。おりょうの面白さは竜馬のなかにしか棲んでいない。

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