西牟田靖●誰も国境を知らない――揺れ動いた「日本のかたち」をたどる旅
* 尖閣諸島への上陸許可をもらえないか、駄目を承知で僕は地主に掛け合ってみることにした。〔…〕 ところが電話に出た年配の女性は丁寧ながらもつれなかった。察してくださいというニュアンスで、「取材は受けていません。内閣府に一任しています」と言った。〔…〕 取材を拒否されたからにはそれ以上のことは闇のなかだ。栗原家の真意はわからなかった。直接取材することもかなわない。 だが、電話に出た女性は、かわりに「一任している」という政府の担当部署の連絡先を教えてくれた。それは内閣官房副長官補室の電話番号だった。 ――「尖閣諸島-政治的な秘境となった島」 |
●誰も国境を知らない――揺れ動いた「日本のかたち」をたどる旅|西牟田靖 |情報センター出版局 |ISBN:9784795848924 |2008年10月|評=○
<キャッチコピー>
歴史の流れのなかで、日本という国の膨張・収縮により時代に翻弄されてきた特別な場所=北方領土、竹島、尖閣諸島、沖ノ鳥島、与那国島、対馬、そして小笠原諸島、硫黄島…。あの戦争の果ての線引きによって定められてきた「この国のかたち」を見つめ直すために、僕は、日本列島の周縁に位置する「国境の島々」を訪ねる旅を始めた―。
<memo>
2010年9月7日、中国漁船が日本の領海である沖縄県尖閣諸島付近で操業し日本の海上保安庁の巡視船に衝突した事件の処理を巡って、菅直人内閣の無能を国内外にさらけだした。今後、国交相時にパフォーマンスだけの無責任振りを実証した前原誠司が外務大臣であることに危うさを感じる。
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