武田浩和・編集●本田靖春――「戦後」を追い続けたジャーナリスト
** 明日どうなるか分からないのに花を育てているってことが、本田には不思議で仕方が無かったんですね。 そう考えると、物を持たずに何も無い所で生きるという本田の生き方が見えてくるんですよ。よく「シンプル・イズ・ベスト」と言っておりましたけど、それは「由緒正しい貧乏人」として、とても正しい生き方であったと思いますね。 なんにも持たないのも、これまた良いんですよ。一緒に住んでみて分かりましたけれど、シンプルに生きるっていうことは精神的にとても良いことですね。〔…〕 本田との生活は、悲しいことも大変なことも多い人生でしたけれども、飽きない人生をすごさせてくれたことに感謝しています。〔…〕 私は、本田に、「あなたが亡くなってから五年間は何とか頑張ります」って言ったんです。そしたら、「うん、まあ、それでいいんじゃないの」って。 「まあ五年頑張れないようだったら一緒に連れてってあげてもいいけどねえ」って言われたんで、「いいえ、結構です」って返したら、「そういうときは断り方ってもんがあるだろう」って。「いいえ、ありません」って(笑)。 ――本田早智「夫・本田靖春のこと」 |
●本田靖春――「戦後」を追い続けたジャーナリスト|武田浩和編集|河出書房新社|ISBN:9784309977379|2010年07月|文藝別冊|評=○
<キャッチコピー>
ノンフィクションが枯渇する今こそ振り返るべき、孤高のジャーナリスト。没後初・特集本。佐野眞一×吉見俊哉、魚住昭×元木昌彦、足立倫行、斎藤貴男、野村進他。
<memo>
単行本未収録の「不況の底辺・山谷」「政治的『政治記者』の体質」「虫眼鏡でのぞいた大東京」の3本を掲載。その生き方は↓に。
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